山彦よ響け

山とVしかやることがない人の日記

5日目 宮之浦川〜七五岳東稜(停滞)

5日目(4月23日)
結局風の轟音は一晩中聞こえていた。
起きるとほんのりパラパラと雨が降っている。
今日は停滞だ。安心して二度寝を貪った。

少しして、今度は完全に起きた。雨は朝に降った程度で既に止んでいる。
ホントは、今日こそ偵察にいかなければなのだが、体がバキバキでやる気が出ない。8日分の食糧を持って宮之浦川登って縦走したのだから、そりゃ筋肉痛にもなるだろう。

 

水場
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一度だらけきったカラダに活を入れるのは難しく、散歩する気もなかなかおきない。
偵察する気はないけれど、烏帽子岳という、ベースから20分程度で登れる山頂に行こう、ということもなんとなく話していた。これも行くのが昼過ぎになってしまった。
幸いなことにここの山頂では電波が入った。
明日の天気をヤマテンやscwで見ると、雨雲はたぶんかからない…が、台風は依然として沖縄に留まっており、今日と状況はあまり変わらなそう。
それに少し先だが、5日後の28日からずっと天気は悪そうだ。逆算するとフリーウェイを27日に、そして26日をレスト日と移動に、と考えると、明後日25日には下山したいところ。予備日はもう使えない、というか使いたくない。
そしてこのタイミングで、下降に2日以上はかかる(と思われる)黒味川下降はなくなった。

 

烏帽子岳から
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夜になり、さてここからは話し合い。
ホサカはフリーウェイを諦めてでも七五岳東稜を登りたそうだ。
だが僕は?僕はフリーウェイの方がいい。安全だし、結局待っても天候が回復しないと東稜は登れない。

それにもう停滞に飽きたのだ。持ってきた文庫版俺は沢ヤだ!は読み切っちゃったし、モバイルバッテリーの電池はなくなりスマホの電池も残り少ないんだ。もうkindleで本を読んでいられないんだよ。もう残った娯楽はホサカの持ってきたラジオしかないんだよ。

それに正直、夜が寒くてもう嫌なのだ。いくら南の島屋久島とはいえ、4月にエスケープヴィヴィじゃ寒いんだよ!

何が決めてになったのかはわからないが、とりあえず明日がラストチャンス、天気がダメだったら諦めよう、ということになった。

このときどんな気持ちで寝ただろう。もしかしたらいけるんじゃ…いややっぱり命はかけたくない。そんな不安だろうか。

依然として風はビュービューと鳴り止まず、夜は更けていった。