山彦よ響け

山とVしかやることがない人の日記

3~4日目 宮之浦川〜七五岳東稜(宮之浦川から七五岳ベースまで)

3日目(4月21日)

今日は宮之浦岳まで詰めて、稜線にある岩小屋に泊まる予定だ。

ちょっと寒いので、昨日と同じ7時に行動開始する。

 

漏斗の滝は大きく巻く。右岸にある沢形に入り、大きめな沢形を選んで進んでいくと、広いコルに出る。水があればここに泊まってもよさそうだ。

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巻けるところまで巻いちゃおうと高巻いていくと、急峻な側壁に阻まれるので、沢に降りた。降りた先にもこれまた登れない滝、また右岸から巻く。

 

巨岩はどこまでも
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巻いたり巨岩を縫うようにして進んでいくと、F28が現れた。
ボルトにアブミをかけて越える。ボルトも比較的ピカピカで、そんな高過ぎる位置でもないのでありがたかった。

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まだまだ基本高巻きで進んでいくと、上部ゴルジュが見えた

。記録では左右どちらからも巻いていたと思う。上部ゴルジュ手前までは右岸を巻いてきたので、せっかくなので左岸から巻き始めた。

 

上部ゴルジュ入口(たしか)
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気軽に選んだが、最初の部分が悪かった。安全のため、ホサカにロープをひいていってもらった。荷物が軽かったらなんてことはないかもしれんけど…
ある程度高度をあげたら、あとは藪漕ぎのような巻きをこなすだけだ。ヤブが濃いので右岸巻きが正解だったかなぁ、とも思ったけど、どっちも大変だろうかも。

 

15m滝が見えたところで、巻きを終えて沢に戻った。
ここまでくると沢の景観もかなり落ち着き、登れる滝が続く快適な遡行となる。

 

来た沢を振り返って
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景色を楽しみながら進んでいくと、ヌメヌメのスラブが出てきて、やがて水が枯れた。結構、標高高いところまで水があるんだね。

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なるべく沢形が残ってて、藪が少なそうなところを選ぶ…けどやっぱり藪はあった。
20分ぐらいの藪こぎをして、登山道にぶつかった。お疲れ様でした。

 

いい天気だけど、風が強い。
とりあえず宮之浦岳山頂まで移動する。
時刻は17:20、宮之浦岳山頂着。

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…いや、風が強い。
雨具を着ていても寒すぎる。

ここで久しぶりに電波が入ったので、頑張って天気予報などを確認する。もっとスマホいじりしたいけど手がガタガタ震える…

時間もないし寒いので、すぐに七五岳への縦走に入った。
18時半ぐらいになると日も沈んできた…夕暮れが綺麗だなぁ。
なんか疲れちゃったし、水場があるあたりで本日の行動を終了することにした。
標高はそんなに高くないけど、久しぶりの稜線泊。星が綺麗で気持ちよかった。

 

 

4日目(4月22日)
今日の目的は、湯泊歩道の七五岳への分岐のところがベースによいらしいので、そこまで行って、可能ならば七五岳東稜の偵察だ。
いつものようにゆっくりと、8時に行動開始。

今日も太陽はぎらぎらと輝いていて、朝はいいけど、昼は暑くて大変そうだ。f:id:yamabiko222:20210703225729j:image
最初はいわゆる普通の縦走という感じ。途中、黒味岳に寄り道する。

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山頂から目指すべき七五岳が見える。意外と遠いな…というのと、めっちゃ傾斜たってない?と思った。あれを登るのか…登れるのか?
見えてた斜面が登るルートじゃないことを祈りつつ、縦走に戻った。

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※見えていたのが登るルートでした
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花之江河まで降りて、ここから湯泊歩道に入る。
一般ルートではないためか、入口には柵があった。
どれだけ悪い道なのかと身構えたが、そんなに悪くはなかった。
ただ「山」というより「森」といったよう。規則性もなく、アップダウンも関係ないので、赤テープがなかったらまともに辿れないような道だった。

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思ったより遅くなってしまったけど、七五岳への分岐についた。平なスペースがあって、寝るのはよさそう。少し近くにチョロチョロだけど水も流れている。快適なベースになるといいけれど。

 

ツェルト張った七五岳ベース
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ひとまず荷物をおいて、七五岳の山頂に向かった。

一本道の尾根と思いきや、意外と道がわかりにくかった。赤テープを辿る。
アップダウンをこなしていると、風の轟音がとても大きくなってきた。嫌な予感しかないな。
山頂に近づくと、昨日ぐらいの、いやそれより強い風を感じられた。これはたまらん。

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ここで電波が入ったので、風をしのげるところに移動して天気予報を見る。
なるほど、沖縄で発生した台風の影響で、風が強いらしい。
明日の天気は雨が降るか降らないか、五分五分といったところか…

山頂直下からはヤブまじりのような急登なので、あまり風があたらなくてよかった。けれど山頂はのっぺりとした岩以外何も存在しない。もちろん強風直撃だ。


飯山さんが開拓した新ハードルートである「影の山」の終了点とかを近くで見たいが、風が強すぎてまともに立っていられない。岩のへりに近づいたら持ってかれてしまいそうなので、キョロキョロと景色を見たらそそくさと降りた。


この風の強さでスラブ登攀…?ムリじゃね…?
とりあえず東稜のアプローチであるという大凹角まで戻る。なるほどたしかに大凹角。実物を見ると、わかりやすくて助かった。

 

大凹角
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ここを降りて取り付きまで偵察したいけど、時間がない。今から2、300m降って登り返すのは大変そうだ。
それに明日もこの風じゃねぇ…
ということで、偵察のことは後で考えるとして、ベースに戻った。

 

ここのベースは風の音はビュービューするけれど、ツェルト内では風に苛まれることはない。ツェルト優秀。
おかげでルートのことを集中して悩むことができる。
正直、風がヤバいくらい吹いていることは、いい敗退の理由ができた、ぐらいに思っている自分がいた。


何度も考えるけれど、280mに腐っているかわからないピンが10本だけは怖すぎる。あ、ちなみにジャンピングは持ってきていない。数本のリングボルトを持ってきても、この長さだったら焼け石に水だと思ったから。
ホサカはピンが少なくても、風が弱ければ行きたそうだ。心が強いなぁ。俺は別に、屋久島フリーウェイが登れればそれでよいのに…

命をかける登攀はしたくない。

明日は、もし雨が降っていたら停滞として、明後日に東稜を登ることを決めて、眠りについた。


起きて、天気も良くて風がない、ナイスコンディションだったらどうしよう…

 

今、この緑のとこまで来ました

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縦走中のヤクシカ

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