西表島 仲間川〜仲良川(2022/4/1~4/2)
朝、ゆっくりと目を覚まし、窓から外を見る。小雨が降っており、生憎の空模様。まぁ前日の予報通りだ。にしても風強いな。
雨風がなければ過ごしやすい
満潮の時間、 そしてマリンレジャー金盛の営業開始に出発するため、 集合は宿から10分の船着場に8時と、少しゆっくりだ。
普段着として使っていた水着から沢の服に着替える。 がここでトラブル。 いつも下に履いているドライレイヤータイツがない… いつもはこれを履いて下着は履かないので、下着は持ってきていない… 貴重品と旅行道具と一緒に、 石垣島フェリーターミナルのロッカーに置いてきた。
困った…普段の沢ならいいが、前に西表の沢に行ったとき、 ヘドロのようなものの上を歩くときもあったし、淀みを泳ぐし、 あまり綺麗な沢のイメージがなかった。
そこに肌着もなしはちょっと辛い。あ、着替え用の毛下着はあった。いやでもこれは違う…
一縷の望みをかけ、早めに準備を済ませた後、船着場に集合する前に大冨共同売店に寄った。 ここは西表島大原のコンビニでありスーパーだ。 朝は7時開店の嬉しい仕様で、だいたいなんでもここで揃う。 そして願い通り、トランクスも売っていた。
よかった〜
なんやかんやうまいこといきますな。
前日夜に撮った僕らの共同売店
小雨が降って、それなりに風がある天候。 金盛さん直々に操舵してもらうことに。「こんな天候で行くんか…」 と言われたけど、 まぁ山ん中に入っちゃえばなんとでもなるでしょう。
それよりボートが出せなくなることを危惧していたが、 それは全然大丈夫だった。
屋根つきの船を出してもらう
せっかくのプライベートマングローブツアーだが、 雨と寒さで何も感じない。 とりあえずパシャパシャと何枚か写真だけ撮った。
干潮近くても沢の近くは歩けなさそう
ボートは結構な勢いで進み、30分ほどで船で行ける最奥に到着した。
船から木を渡って上陸。 ひとまず予定通りの場所まで来れて安心する。
たぶんここが恒例の上陸地なのだろう
やっと沢登りを始めることができる。いろいろ調べたりしたし、ようやくといった感慨がある…
少し歩くと、川が広くなった。
ここは西表っぽい沢…なのかな?普通の沢か。 いやでも植生はあまり見ないものだ。
沢だな…という感想
とりあえずまだ4月なったばかりというのに、 水はそこまで冷たくないのが嬉しい。
しばらく進むと、淵が出てきた。
西表のイメージ通り、流れがないので少し汚いw
まぁでもジャングルっぽくていい感じだ。 相方は果敢に泳いでいった。
もう泳ぐのか…ちょっと寒いぞ
滝と呼べるような滝はなさそうだ。たまにナメ、あって段差のようなものがあるくらいで沢始めにちょうどいいくらいの塩梅だ。
淵があってもなるべく泳がないでいたかったが、 進むにつれてそうもいかなくなった。
まさに川といったような淵で、もう泳ぐしかない。
いや、巻こうと思えば巻けると思うが。
ガイドが入っているのか、 ここまでピンクテープが結構ある。 でも巻きの方がめんどうくさそうなので素直に泳いだ。
ピンクテープがかなり奥まであった。ガイドかな?
けっこういいペースで来ていると思ったが、 泳ぎはやっぱり進みが遅い。
手間取るようなところもないけどゆっくりと進んでいった。
泳ぐ。泳ぐ。
一際長い淵を泳いだあと、 仲間山の北のコルに詰め上がる支流に入る。
ここに入ると小滝も現れ、川から沢といった感じになる。(『 南国探検』によると仲間川東沢というらしい)
それでも難しいところはなく、サクサクと進む。
途中珍しい植生を見ては鑑賞する。
すると登れなさそうな大きな滝、7m滝にぶち当たる。
右岸は無理そうなので左岸から巻く。
そんなに悪くなく、すんなり水流に戻れた。
もうそろそろコルかな、といったところで、 サキシマスオウの木がドドンと出てきた。
いちいち植物のスケールがでかいのが面白い。
───俺がサキシマスオウだ
そのまま藪こぎなくすすんで、コルを通過。
源頭みたいなものは殆どなく、 数分枯れた部分を歩いたかな、というくらいで、 まるでずっと沢が続いているように下降に入っていった。
さてここからは幕場近くまでは単調な沢歩きだ。 翌日の天気が午後から崩れる予報のため、 なるべく距離を伸ばしたいところ。
しばらく単調な沢を下り、 もうそろそろ疲れたし泊まりたいなと思うようなあたりで、 15m滝が出てきた。
巻き降りるのは厳しそうなので懸垂下降をする。
右岸の木に残置スリングがたくさん巻いてあったが、 古そうなのでロープは樹に直接まわした。
巻きは探ってないです
この滝を降りると、赤テープが出てきた。
ナーラの滝まではまだあるけど、 ここまで滝とか見に来たりするのかな?
ちょっとこのテープを辿って沢岸を歩くと、 寝るのによさそうな広いところに出た。
おぉ、今日はこの辺でよさそうだ。
ここまで順調で何よりだ。
この辺にしようかと荷物を置き、 もしかしたら先にはもっといい所があるかと思いちょっと進むと、 何やらもぞっと小動物が動いた。
ウリ坊だった。それも3匹。ささっとどこかへ行ってしまったが、 頑張れば捕まえられちゃうぐらいの速さだった。
お〜珍しいもの見れたとか思ったが、「いや近くに親イノシシがいるのか?」 と怖くなり、すぐに引き返した。
テン場にしようとしたところからそれほど離れていないけど、 このテン場は変えたくなかったので、 相方には何も言わないでおいた。
イノシシが近くにいるかもなんて怖いしね。
いつの間にか小雨は止んでいたが、もちろん薪は濡れており、 というか薪と呼べるような木はそもそもなかった。
そういえば西表の沢で焚き火とかしたことないな… いつも雨なイメージだ。
あ、たぶん沢で焚き火とかしちゃいけないと思いますよ!
虫とかいたらキモいのでクロスオーバードームをたて、 着替えて中に入る。うん、快適!
晩御飯の生姜たっぷり沖縄そばを食べたら、 かなり早く眠りについてしまった。
んまい!
ーーー2日目
翌朝、バタバタとテントを叩く雨音で起きる。
なんかめちゃめちゃ降ってる…
おかしい…降るのは午後のはずなのに…
相方が言うには深夜にもドシャブリの雨が降ったらしい。
外を流れるコーヒー色の川を見るに、どうやら本当そうだった。
ここで水を汲んだはずなのに…
ここからの難所はない…はずだったが、状況が変わってきた。
沢が増水してコーヒー色なので、川岸を歩くしかない。 しかし何故か赤テープはあるからこれを辿れば大丈夫そう。
昨日ここまで来といてよかった。
テープを辿っていたら渡渉が出てきた。 普段なら何の問題もなさそうだが、濁って底が見えなく、 ちょっと躊躇する。
腰の上くらいの深さだったが、 幸い流れは強くなかったのですんなり渡渉する。
深さがわからなくて怖かった
渡渉したり、途中なんどかテープを見失ったりしながらも、 ナーラの滝の落ち口に来た。
ここで懸垂下降をするために50mロープを持ってきていたが、 降りても下は濁流が待っており、 どう見ても懸垂は出来なさそうだった。
ここで巻いて降りるかぁと少し思案していると、 なんか水たまりっぽくなっているところにビチャビチャと長い何か が跳ねており、掴むとそれはオオウナギだった。
ビックリしてちょっと持ったあと、 近くの岸にポイッと捨ててしまった。 水から上げたから落ち着いて写真でも撮れるかと思ったが、 そのまま身をくねらせて一瞬で水流の方に戻ってしまった。
惜しいことをした…まぁでも相方も見たから、 ウソじゃないってことだけわかればいいや。
さて、左岸にテープが続いていたので、 またもそれを辿って降りることに。 濡れて土がグズグズで少し悪かったけど、問題はなさそうだった。
巻き降りてマーレの滝に少し近づくと、 写真で見たのとは全然違う姿がそこにはあった。
巻き降りる道があってよかったぁ…
写真で見たのとちがう…
ここまではツアーが出ており、トレッキング道があるはずだ。 これで一安心。
おそらく右岸にトレッキング道があるんじゃないかな〜と思いながらも、渡渉が出来ずとりあえず左岸を降りて行った。 結構進んだあと、適当なところで渡渉すると、 ちゃんと道っぽいのに出た。
やっぱり右岸だったね、なんて言いながらもう終わった感を出すと、数分で道が途切れた…
少し辺りを探すと、支流を挟んだ先に赤テープが見える。
この支流、深そうなんですが… ホントにここトレッキングしてるんすか?
結局腰までの渡渉で何とかなったが、信じられない…
そこからは登山道といったような道で、順調に進むことができる。
しばらくすると、仲良川の「船着場」に到着した。
ジャングルクルーズの始まりだ
着いた〜〜といった感じだが、まだ何も終わっちゃいない。
目の前にあるのは沢などではなく「川」。岸を歩くとかそういうものじゃない。 普通の沢下降でこれが出てきたら絶望するだろう。
しかし僕たちには「パックラフト」がある。
ようやく使うことができる…!
流れもなく、太く、深く、そして長いアマゾン川のような川だ。ワクワクしてくる。
とりあえずヒルをチェック。そんないないだろ… とか思っていたが、ソックスの付け根を4,5匹噛まれていた。
めっちゃおるやん… そういえばなんかトレッキング道のところで痒かったな…
どうやら沢にはいないがトレッキング道にはたくさんいるみたいだ 。
駆除し、パックラフトを出して準備をする。
10分ほどで膨らまし、おまけに浮き輪を膨らませて準備完了。 今回はパックラフトのライトウォーターディンギーと浮き輪を連結させ、交代でパドルを漕ぐという作戦だ。
今回が初使用なのでここで進水式。うむ、楽しい!問題なし。
川の深さも充分で、流れがないので転覆もなさそう。 まさにうってつけの環境だ。
寒いのでとっとと出発する。
雨は相変わらず降り止まない。というか強くなってきた?
コンディションは悪く、さながら密林迷宮からの脱出行だ。
水が汚いぜ!
順調に進むが、パドルに慣れていないので結構疲れる。いや、 探検部のころにパドルを使う機会は多かったからわかっちゃいたけ れど。
少し進んで、飽きてきちゃったので交代してもらう。
浮き輪にお尻をはめて、仲良川遊覧としゃれこんだ。
楽が出来ると思ったが、とても寒い…結構辛い。 動かないから体が温まらないし、お尻は浸かっているので冷たい。
これは漕いでいる方が楽なんじゃないか…と思いながらも我慢した。
見た目は優雅でラブリー
何度か交代しながら、意味もなく写真も撮っていると、 デカい鳥のようなものが飛んでいた。デカいな… と思ってよく見ると、コウモリだった。 「ヤエヤマオオコウモリ」だ。結構怖い。ただ距離があったので、 うまく写真に撮れなかった。残念…でもいいもん見れたな。
結構海の方に近づいてきたかな〜というあたりで、 カヤックに乗ったガイドとツアー客の3人組とすれ違った。 それも二組。
これは驚いた。雨が強めに降っていて、風もある。 よくこんな状況でツアーに行くな…事故はないかもしれないけど、 全然楽しくないだろ…現に僕は寒くて仕方ない。
もしやと思って浮き輪にお尻をはめたたまま、「 マーレの滝に行くんですか!?」とガイドに聞いてしまった。「 そうですよー」と行っていたが、「っ、と、 渡渉があるんで気をつけてくださいね!」などと言ってしまった。 ガイドは熟知してるだろうに…
ただホントに行くの?と思ってしまったのだ。 ウェットとか着てたらいいかもしれないけど、 ツアーで茶色い川の腰までの渡渉って嫌じゃないですか? 逆にお金貰いたいっすよ…どうしたのかホントに知りたい。
ちなみにもう一組のガイドに「 それで直接白川港に行くのは厳しいですよ」と言われた。「 いやーそうなったらヤブとか漕いで行きますよ〜では〜」 と言ってすれ違った。いや、チョクで白川港の前の海には漕いで行かねぇよ… 後ろ浮き輪やぞ…
景色もよくないのによく来るな〜
沢にも浅いところが出てきたな、というところで、 海と川の境目になる部分?を通過した。
右岸にはマングローブが露出し、歩けそうな干潟が続く。
風も強くおそらく歩いた方が早いので、予定通り 上陸して干潟歩きとする。
ギリギリ歩けるようになる
ただ、まだ水が引いたばかりだからか、 この干潟に足を取られて進みにくい場所がある。
もしかしたらパックラフトをもう一度漕ぐ必要があるかもしれない 、と考えて畳まないで移動した。
そのせいでパックラフトが風をモロに受け、 歩きにくいことこの上なかった…
深いところは抜けない
風が強いのでマングローブの間に入って休憩しながらも、 順調に歩を進める。風が強くて寒く、結構必死だからそりゃ順調だ。
もう遠くに白川港が見えるあたりで、本流が右岸の方に流れて歩きができなくなった。頑張ればへつって進むこともできるのかもしれないが、ここは素直にもう一度パックラフトを漕ぐ。せっかく畳まないでおいたしね。
面白い岩壁を眺めながら進む。ディズニーみたいだぁみたいな語彙力しかもたなかった。
わぁ〜ディズニーみたい〜
少し進んで、干潟に再上陸。もう干潟が港まで続いているのが見えて一安心だ。
干潟の奥に、何か4足動物が動いているのが見えた。少し近づくと、それは森の方に逃げ始めた。「リュウキュウイノシシ」だ!
干潮時を狙って、潮干狩りのようにカニとかを狙っているらしい。距離があるからか、とっとこ進む様はかわいかった。
とっとこ逃げるよノシ太郎
ここにきて二級河川仲間川起点の石柱を発見する。ここが起点っていうのがよくわからなかったけど、そうなんでしょう。
近くの支流が流れているところで装備を洗い、ようやくパックラフトも畳んだ。
起点もわからんけど左岸ってのもなんだ…?
───虚無
記念写真を撮ったりしながら干潟を進み、ようやく港に辿り着いた。
今回も無事に帰ってこれてよかった。
到着!これは「うれシーサー」のポーズ。魔を祓うと言われる。
今日はほとんど「漕ぎ」がメインだったのヘトヘトってわけではないけれど、雨風があって寒すぎる。
昼のバスの時間に間に合わなかったため、ここで2時間近くバス待ちとなる。
乾いた服に着替え、雨の降り止まぬ白浜港ターミナルでゆっくりとバスを待った。
ようやく時間となり、ほとんど人の乗らぬバスに乗って港に向かい、すぐに石垣島行きの船に乗り、着いたらタクシーに乗ってホテルにinして人権を得た。
お疲れ様バス待ち
ーーーーーーー
やっぱり今回の西表も雨だった。
西表の沢といえば雨のイメージだ。いつか晴れた日にも行ってみたいな。
にしても、今回のパックラフト下降は面白かった。
今回のような合理的にパックラフト(もしくはそれに替わる何か)を使うしかない、というような沢のルートは日本にあまりないんじゃないだろうか。それも海に流れていくなんていうものは。
それなりに記録のあるルートだけれど、あの仲良川の船着場に着いたときのワクワクは、久しぶりの感情だった。
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山行から3日後、小浜島のホテル「はいむるぶし」に泊まった。
なんか部屋が勝手にアップグレードされ、海と西表島が見える部屋に。
普通に泊まったら一人一泊でクロスオーバードームが買えるくらいの値段だ…
ひろ〜〜〜い!!
────chill
いや、やっぱり僕にはこっちの方があってますわ(笑)
スイート泊まれてうれシ〜サ〜〜〜